こんにちは!AzuYahiです。
現在、本業である測量業が大変忙しくストレスがかなりたまっております。
この記事で測量業の愚痴をぶちまけて少しでもすっきりしたいと思いますので宜しければお付き合いください。
今回のエピソードは山中に開発予定であったダムの建設に関わる測量のお話です。
そびえ立つ3つの山
まずは今回の依頼内容を簡単に説明します。
山岳地帯のど真ん中にダム建設計画がありました。そこで工事を開始するにあたって正確な位置情報をもった測量基準点が必要になります。
僕たちの仕事はこの測量基準点をダム建設予定地の周辺に設置する事になります。
通常、測量基準点は近傍にある位置情報のある別の測量基準点より位置情報を取得するだけなのでそれほど難しい仕事ではありません。
しかし、今回は簡単な仕事ではありませんでした。
ダム周辺で位置情報をもつ測量基準点はA山、B山、C山の山頂に設置された三角点だけだったのです。
※この当時は電子基準点は設置されていない
三角点というのは国土地理院が管理している国が設置した測量基準点です。
剱岳 点の記という三角点設置の映画が有名ですよね。
三角点は測量基準点の中でも最上位の精度をほこりますが、設置場所が山頂のような高い場所に設置されていることが多いので利用するには骨が折れます。
今回の作業をするうえでこの3点の三角点を利用するしか無かったので、僕たちはGPSを使用した計画をたてました。
GPS測量の特徴を簡単に説明すると次の通りです。
・同じ時間帯で設置した複数のGPS機器は位置情報をリンクすることができる。
・設置時間は60~80分。
・点検も必要なのでこの作業を2度実施する。
これらを踏まえて僕たちが計画したのが上の図です。
GPS測量機を4台用意して、作業班を3人1組で4班編制します。
1班はダムの近くに今回位置情報を取得したい測量基準点にGPS測量機を設置して待機します。残りの3班はA山、B山、C山にそれぞれ登山を開始し、山頂で三角点を見つけたらGPS測量機を設置して待機します。
無線で全班がGPS測量機を設置したことを確認したら一斉に観測を開始します。観測には60~80分かかりますのでその間は山頂で待機し、観測が終了したら点検のためにもう一度無線で確認しあってもう一度観測を開始し、60~80分待機して観測終了です。
今回、三角点を3つ使用した理由は位置情報の精度をより高く保つためには必要であると言うことをご理解ください。
ちゃんと理由もあるのですが専門用語だらけになるのでここでは割愛します。
気になる方はGoogleで「三辺測量」で検索してみてください。
それではそれぞれの三角点がある山を簡単に説明していきます。
作業前に偵察班が事前に三角点の下見に行っています。
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A山
とんがり山で勾配がきつく、測量機器を背負いながら登山するにはかなりのスタミナを要します。熊出没の可能性が非常に高いため、ライフル持ちのハンターが1名護衛につきます。山頂到達予定時間は90分。
B山
3つの三角点の中でもっとも過酷。B山に到達するまでに3つの山を越えなくてはいけないのでかなりの長時間を歩き続けなければならない。前回この三角点を利用した業者はヘリコプターを利用していたほどです。今回は予算の関係でヘリコプターは断念しました。熊に100%出会うであろうという熊の巣窟であるため、護衛のハンターは2人同行します。ちなみに僕はこの班です・・。山頂到達予定時間240分。
C山
勾配はそれほどきつくはないのですが、距離がけっこう遠いです。くま笹などの背が高い植物が密集しているので、熊にばったり鉢合わせにならないように気をつけなければなりません。近距離の護衛が必要になる可能性が高いので散弾銃を装備したハンターが一人同行します。山頂到達予定時間120分。
測量基準点設置箇所
林道を利用して車で移動できるため、今回のミッションで一番楽なポジション。ただし、緊急事態には的確な対応に迫られることになるので責任は重大。
したがってここはこの業務の責任者が担当します。
それぞれの三角点は到達時間が全て異なるため、目標観測開始をAM10:00と定めて出発することになります。
僕のB山隊はAM5:00に出発しました。
登山経路はハンディナビを頼りに進んでいきます。
この日の気温は最高で30度を超えるらしいので、熱中症対策としてできるだけ薄着の装備で登山に臨みます。
さて、このミッションは無事成功するのかどうか・・・・。
ほんと測量業なんてやるもんじゃ無いっすねw
その反面、これを読んでこの仕事をやってみたいと思った若者がもしいるのであれば、それはそれで嬉しいですけどね(*^_^*)
続きはまた次回。
それではまたね(^_^)/