こんにちは!AzuYahiです。
僕はもうかれこれ測量業に20年くらいたずさわっていますが、この仕事を選んで失敗したなぁ~って思ったことは数えきれないくらいあります。
僕より少し前の世代の方はうまみのあった時代があったのかもしれませんが、少なくとも僕には全く美味しい話はありません。
経済状況や労働条件などいろいろと問題はありますが、今回は僕が測量業なんてやるもんじゃ無いと思った仕事を紹介していきたいと思います。
48時間外仕事
測量点(基準点)に位置情報をつける時に現在ではGPS等の人工衛星を使用するのが主流になっています。アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、ヨーロッパ共同体のGALILEO、日本の準天頂衛星システム(QZSS)等たくさんの衛星測位システムを利用できるため、時間や場所にそれほど影響されずに作業が出来ます。
しかし、十数年前に至ってはアメリカのGPSしかまともに使用できるシステムがなかった為、高精度の測量を実施するには場所と時間をかなり絞られる状況でした。
そんな時代に僕が勤める会社は人工衛星を利用した測量の依頼を役所から受けることになります。作業に入る前に衛星の軌道を予想して、もっとも高精度な結果を得られる時間帯を探るわけですがアメリカの衛星と言うこともあり、だいたい深夜0時~3時の間に観測することが望ましいとの結論になってしまいます。
この仕事の担当になってしまった僕は朝から通常の測量業務で普通に外仕事、夜には人工衛星を利用した測量業務で外仕事・・・・・。そして次の日の朝から通常の外仕事・・・・。
一番ひどい時で48時間ぶっ通しで外仕事をやる羽目になりました。
48時間徹夜で何かをやると言う経験はあるかもしれませんが、48時間外仕事をやり続けた人はそういませんよね?w
移動は全て自動車だったので半分寝たような状態で運転していました。今思うと相当危険だったと思います。
最低でも夜だけはきちんと眠れる仕事にすれば良かったと本気で後悔しましたね。
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熊の巣に杭を打ちに行った
お役所のお仕事で会社にある依頼が持ちかけられました。
とある山林に境界点の杭を設置して欲しい。
住宅地や道路には境界点とよばれるコンクリートや金属の杭が設置されているのを見たことがあるでしょうか?
こんな感じの杭です。
山林にこのような境界杭を設置する依頼は少なくありませんでした。
境界杭を設置するためには山林の奥深くまで出向かなければなりません。そうなると北海道の場合、熊や害虫が最大の脅威となってきます。
なので毎回ハラハラしながら作業をしていくわけですが、ここで紹介する場所はそのなかでも僕がとても危険だったと思った場所です。
この時結成した測量班は僕が班長で部下3名の計4人。
僕たちは境界杭を設置するべく山の中を進んでいくと洞穴みたいな大きな穴を発見しました。
そしてその周辺はもの凄い獣臭が漂っています。
僕の足下にはたくさんの熊の糞が転がっていました。
危険を察知した僕は部下達にこの場を早く離れるように指示をしました。
すると後輩は僕に恐ろしい事実を報告します。
ハンディGPSだとこの辺が杭設置箇所になります・・・。
ハンディGPSとは持ち運べるほど小型な簡易ナビみたいなものです。
精度はあまり良くありませんが、目的の場所に辿り着くためだけであれば十分な精度を持っています。
そのハンディGPSによるとこの危険なオーラが溢れる場所が今日の仕事場だというのです・・・。
幸い、設置する杭は僅か4本だったのでとっとと設置してこの場を早急に去ろうと言うことになりました。
僕たちは大急ぎで洞穴周辺で作業をおこない、3本の設置が終わり作業終了まであと1本となりました。
そして最後の一本の設置位置に測量機(トランシット)により誘導された時、僕たち全員は凍り付きました。
※トランシット 角度や距離を光波を利用して計測する測量機器。
最後の設置位置は洞穴のすぐ目の前だったのです。
これはやばい・・・。
しかし仕事なので逃げるわけには行かない。
僕たちはある程度距離を置くと洞穴の中に石を投げ込みます。
もし熊が中にいれば出てくるはずです。
長い沈黙が続きます・・・・・。
いない。
熊はいない!!みんな一気に終わらせるぞぉ~!
僕が叫ぶと部下達は弱々しい声で、お~~と応えました。
僕は部下達を安心させるために勇気づけました。
「みんな安心しろ。俺は鉈が一本あれば熊が1頭であれば倒す自信がある。だから熊のことは心配しないで作業に集中してくれ。」
ええ、もちろん大嘘です。
勝てるわけ無いですよ実際w
僕のハッタリが役にたったのか?作業は順調に進み無事に境界杭を設置する事が出来ました。ほんと生きた心地がしなかったです。
作業が終わり早急にその場を立ち去ったわけですが、帰り道にばったり見かけてしまいました。
僕たちのいる隣の尾根にばかでかいヒグマがいるではありませんか!
ヒグマは僕たちが作業をしていた洞穴の方向に歩いて行ったので、もう少し遅かったらばったり出会っていたかも知れません
安月給で命を張らなければならないこの仕事っていったい・・・・。
僕たちは生きた心地をしないまま熊に気づかれないように静かに下山したのでした。
最後に
これを読んだら測量業に就職したいなんて人はいなくなるでしょうね(^_^;
冒険好きで自然が大好きな人には良いかも知れませんが僕のようなインドアがやる仕事では絶対ありませんw
決して軽い気持ちでこの業界に足を踏み入れないでくださいね。絶対に後悔しますからw
今回からちょくちょく測量業なんてやるもんじゃないシリーズを書いていこうと思いますので良かったら読んでやってください。
それではまたね(^_^)/