こんにちは!AzuYahiです。
今回は回想です。
7月の猛暑でした。
僕を含めた6人のメンバーで山奥深くで作業をしていました。
北海道は涼しいイメージがありますが、真夏は30度をこえて希に全国で一番暑くなる時もあるくらいです。
この日の気温も30度を超えていて、みんな全身汗まみれで作業をしていました。
1日中外で作業をする訳ですから熱中症対策として大量の水分は必要不可欠なので全員4リットルくらいの水をそれぞれ携帯していました。
そんななか、メンバーで一番高齢なフクさんにちょっとしたトラブルがありました。
フクさんは草刈り機で熊笹を伐開する作業をしていたのですが、水のペッドボトルの蓋を開けっ放しにしていた為に中身が全てこぼれてしまったのです。
猛暑の山中で水分補給ができないとなると死活問題です。
フクさんはあと半日だから水分が無くてもなんとかなると言いましたが、なんとかなる訳ありません。
そんな中、メンバーの1人が自分の水を少しわけてあげるとフクさんに言いました。
その言葉に呼応してか残りのメンバーもフクさんに水を渡し始めました。
フクさんの水は半日の仕事がもつくらいは補給されました。
そのかわり全員の水の残量も半日しかもたない量になりました。
フクさんはみんなの善意にとても感激したらしく、ありがとう、ありがとうと何度もお礼を言っていました。
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半日がたちようやく作業が終わり後は山を下りるだけでした。
全員の水がちょうど空っぽになってしまいましたが、後は帰るだけだしそんなに気にしてはいませんでした。
通常、僕たちは山奥に入る時はハンディGPSを使用して行動しています。
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林道がある山であれば道を憶えることも簡単ですが、林道が無い場合は絶対に迷うのでハンディGPSはとても便利なアイテムでした。
しかし、ハンディGPSに依存しすぎた結果とんでもないことになってしまいます。
ハンディGPSに表示される方位を参考に僕たちは下山していく訳ですが、かなりの時間を進んでいるはずなのにいっこうに目的地に辿り着く気配がありません。
それどころか、来る時に見た憶えの無い地形でした。
僕は一度立ち止まってハンディGPSを確認すると衝撃な事実が・・・・。
ハンディGPSは電子機器なのですが、画面がフリーズして固まっていたのです。
それどころか再起動しようにも起動しなくなってしまいました。
いつから固まっていたのか、全然気がつきませんでした。
僕は皆に事情を説明するとフリーズに気づかなかったことを謝りました。
皆は疲れ果てているのか無言で何も言いませんでした。
外は日も暮れて薄暗くなっていました。
僕たちは完全に遭難の危機に直面していました。
そんななか、メンバーの1人が口を開きました。
もう水も底をついているし、帰り道も解らないしこれってやばくないか?
それに反応するように次々と皆が本音を漏らしはじめます。
ナビが固まっている事にもう少しはやく気がつかなかったの?
水が残っていればまだなんとかなるけど、もう体力持たないぞ。
そもそもフクさんが水をこぼさなければ・・・・。
現状に絶望した途端皆がフクさんを責めはじめました。
僕はこの時冷静に思いました。
フクさんに皆で水を譲ってあげた善意はなんだったの?
前に本で読んだことを思い出しました。
他人への善意とは自分に余裕があって初めて芽生える感情だと。
そんな気まずい空気の中、僕の目にうっすら見える物がありました。
来る途中に目印の為に木の枝に巻いておいたピンク色のビニールテープでした。
途中から巻くのをやめてしまったのですが、偶然に見つけることができたのです。
あれをたどれば帰れるはず!
僕たちはビニールテープを頼りに残った体力を振り絞って無事生還したのでした。
帰りの車の中でみんなしばらく無言でしたが、誰かが言いました。
フクさん、さっきはすいません。
この言葉を合図に皆がそれぞれ先ほどの暴言を謝罪しました。
フクさんは笑顔で言いました。
人間は極限になると思わず生きようとする本性が出ちゃうからね。
でもそんなもんは酒に酔っ払っているのと一緒であまり考えずに言葉が出ちゃうもんだよ。
みんなが俺に水をわけてくれた気持ち。あれこそがみんなの本音の優しさだと思ったよ。本当にありがとう!そしてすまなかった。
フクさんの言葉が妙に胸に響きました。
本音と本性。
良くわからないけどなんとなく理解できた気がした出来事でした。
人間の心って深いですね・・・。
それではまたね(^_^)/