むかしむかーしのお話
その日は天気が良くて、とても蒸し暑く冷房のない家にいるのがとても辛かったのでとりあえず外に散歩に出た。
日差しが強く顔がじりじり焼けていくのが解った。
あち~~~
たまらず近くのコンビ二に駆け込むとガリガリ君を購入し、店の前に座り込み、それにかぶりつく。
キーンと音が聞こえてきそうな頭痛が走るが、こういうクソ暑い日にはそれすらも心地よく感じた。
アイスを食べてとりあえず涼むことが出来たので、そのまま川辺の道路を散歩することにした。
道幅が狭く、歩道があるにはあるが人間1人歩くくらいのスペースしかないのですれ違う時にはどちらかが譲らなければならない。
だけど俺は譲りたくなかった。
なんで?って思われるかも知れないが譲ったら負けのような気がしてた。
今思えばとてもバカな考えだが、当時は本気でそう思っていた。
なので決して道を譲らずに歩いていたが、たいがいは相手が道を譲ってくれるので何の問題も無かった。
しかし、こんな横柄な態度で歩いているといつかは問題が起きるのはあたりまえの話。
前から見るからにやんちゃな男が歩いてくる。
金髪でダボダボで空でも飛べるんじゃないかってくらい太いズボンはいて、耳たぶにはピアスじゃなくてネジ釘が刺さってた。
見るからにやばそうな奴だが、こっちも絶対譲りたくない。
どんなにやばい奴でも絶対に譲りたくない。
向こうも当然、譲る気なんて無いからお互い立ち止まって対峙した。
おいどけよ!
俺がすごむと相手はその倍くらいの大きさで叫び返してくる。
お前がどけ!
しばらく罵倒し合っていたが、キリが無いと思ったのか相手がある提案をする。
ちょっと顔かせや
どうやら近くの橋の下まで来いと言うことらしい。
この河川の橋の下は人気が無くて、暴力行為をするにはもってこいの場所だったので、地元の人間にはそこそこ有名な場所だった。
俺は上等だと思った。
喧嘩に自信があるわけでは無かったが、それに参加することに対する恐怖みたいなものはこの時は何も無かった。
きっと頭がいかれていたんだと思う。
俺とその男が橋の下に辿り着くと先客がいた。
見慣れた制服を着た地元の高校生が10人くらいなにやらやっていた。
集団の中心にいる奴は何も服を着ていなかった。
全裸の男は他の奴らに殴る蹴るの暴行を受けていた。
全裸の男は泣いていたし、集団の方はヘラヘラしていたので一方的な暴力であるのはすぐ解った。
これはいじめの現場だ。
きれい事を言うつもりはないけど、いじめって反吐が出るくらい大嫌いだった。
大概は見かけたらいじめてる奴をただじゃおかない。
だけど相手は10人くらいいるので正直びびってた。
だけど、このまま放っておくのもむかつく・・・。
脳内でいろいろ葛藤している間に俺をここに連れてきた男は、ずかずかとその集団に向かって歩いて行った。
てめぇら!だせぇことしてんじゃねぇぞ!
男はそう言うとその集団に殴りかかった。
数人殴ったところで男は羽交い締めにされて、一方的に殴られだした。
その情景を見た俺は体が勝手に動いた。
気がつくとその集団に殴りかかっていた。
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それから数十分後・・・・
俺とその男はずたぼろになって倒れていた。
体中が死ぬほど痛い。
いじめられていた奴は俺らがやられている間に一目散に逃げていった。
いじめていた集団も俺らをボコボコにしてポケットにあった財布から現金を抜き取り満足そうに帰って行った。
俺の横に転がっていた男は立ち上がり、腫れ上がった目をこちらに向けて言った。
お前、何で逃げなかったの?
激痛が走る体を気合いで起こしながら俺は言った。
いじめ・・・かっこわるい
男はそれを聞いて大爆笑すると俺の手を掴み立たせてくれた。
俺はヨウイチって言うんだよろしくな
ヨウイチはそう言うと遠くを見つめながらさらに続けた。
あいつら◯◯高校だったよな。ケジメ取らないとな・・・・
俺は呆れていった。
こんだけやられて、仕返しに行くんか?w
ヨウイチはニヤリと笑いながら言った。
こんだけやられたから行くんだろ?ってか、イジメやる奴とかムカつくだろ
正義の味方かよwまあいいや、俺も行くわ
俺がそう言うとヨウイチは嬉しそうに俺の肩に手を回してきた。
お前良い奴だな!とりあえずはメシでも食いにいかね?俺がおごるからw
ヨウイチがそう言うと俺はすぐに言い返す
おごるって言ったって金全部取られちまっただろ?飯食いに行くのは金を取り返してからだな
ヨウイチは違いないといって笑った。
その後、最終的にお金を無事に取り返し、ヨウイチと飯を食いに行くことが出来た。
昨日の敵は今日の友とはよく言ったものでそれ以来ヨウイチとは親友になった。
あれから何十年たっただろう。
ヨウイチとは別々の町に住むことになってしばらく会っていない。
元気にやってるだろうか。
今日はとても日差しが強い暑い日だ。
あの時と同じ天気なのもあって、久しぶりにヨウイチとの出会いを思い出した。
その思い出が時間の経過でかすれていく前にここに記録として残そうと思う。
やっぱりブログって最高だ。