こんにちは!AzuYahiです。
今回は知人に聞いたお話。
繁華街にとても繁盛しているBARがありました。
40代前半のマスターが一人で経営している小さなお店ですが、面倒見の良いマスターの人柄もあり、女性客を中心に人気を集めていました。
マスターは若い頃からいろいろな恋愛を経験しているらしく、女性客のほとんどはマスターに恋の相談をしてもらっていたそうです。マスターの助言は的確で相談をした女性は大概満足して帰っていきました。
そんなある日、いつもとは違った内容の相談を持ちかけてきた女性客がいたそうです。
その女性は小太りでお世辞でも美人とは言えないタイプでした。
そしてよく見ると顔には殴られたようなアザがいくつか確認できました。
マスターは外見で女性を判断するような人ではありませんでしたので、いつも通り優しくこの女性に声をかけたそうです。
「お客さん、何か悩みがあるのであれば僕に話してみませんか?何か力になれるかも知れません。」
マスターの優しい言葉にこの女性の目からは涙が溢れ、その場で号泣してしまったそうです。しばらく泣き続けて落ち着いた女性はマスターに自分の悩みを話し始めました。
・3年付き合っている彼氏がいる。
・彼氏はとても嫉妬深く、少しでも彼女と連絡が取れなくなると暴力を振るう。
・前に彼女が働く会社の忘年会にまで押しかけて暴れたことがある。
彼女にはもはやプライベートが皆無と言って良いほど彼氏に粘着されて心底疲れ果てたとのことでした。
マスターはいっそ別れられないのかと聞いてみたが、別れ話をしたら何をされるか解らないので、恐ろしくて言えないそうです。
マスターはしばらく考え込むと、彼女にある助言をしました。
「その彼氏に連絡して、好きな人が出来たと伝えてください。そしてその相手は僕だと嘘をついてください。」
彼女は驚いたようにマスターに言いました。
「そんなことしたら、あいつはマスターに危害を加えるに違いありません。それに・・・どうしてそこまでしてくれるんですか?」
マスターはタバコに火をつけながら言いました。
「どんな理由があるにしろ、女性に暴力を振るう野郎は許せないんですよね(*^_^*)」
女性は感激してマスターの言うようにその場で彼氏に連絡を取り、マスターが好きになったと嘘をつきました。
案の定、その彼氏は激怒しそれから10分もしないうちにBARに押しかけてきました。
「てめぇかぁ!!人の女に手を出しやがって!!ぶっ殺してやる。」
マスターは男を制止すると、冷静に言いました。
「お客様の迷惑になるので外で話しましょう。」
マスターと男は外へ出て行った。
それから10分ほどして、マスターは店に戻ってきました。心配していた彼女はマスターの側に駆け寄り外で何があったのかを聞きました。
マスターはタバコに火をつけるとクールに言いました。
「俺の女に今後手を出すなときつくお灸を据えといたんでもう大丈夫ですよ。今後、また絡んでくることがあればいつでも言ってください。もっときついお灸を据えますから。」
彼女はDV男から解放された事とマスターの優しさに再び号泣したのでした。
この時店にいた客がこっそりマスターに言いました。
「言っちゃ悪いけど、なんでこんなブスの女の為にそこまでやるの?」
マスターはキッとその客を睨み付けました。
「俺は女性は見た目では判断しない。女性には常に優しい男でいたい。ただそれだけです。」
それを言われたお客(以後Aと呼ぶ)はこの人は女性に人気が出るはずだと感心したのでした。
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そして数日後・・・・・。
BARが開店して間もない頃。
店内にはマスターと客のAしかいませんでした。
マスターは冷蔵庫を開けると不足している材料があることに気がつきました。
「申し訳ない。ちょっと買い出しに出てくるんで店番頼んで良いですか?」
Aは常連客であったのでオッケーと店番を引き受けました。
マスターは店を出ると裏口から外に出ようとビルの廊下を歩いていました。
すると道を塞ぐ男が一人立っていました。
前にお灸を据えた男でした。
マスターが話しかけようとした瞬間、男はもの凄い勢いで突進してどんっとぶつかってきました。その瞬間マスターの腹部に激しい激痛が走ります。
腹を押さえた手を見てみると血で真っ赤に染まっていました。
男の手には血がべっとりついた牛刀が握られていました。
マスターは激痛をこらえながら、男につかみかかりますがその瞬間また違う箇所を牛刀で刺されます。
マスターはついに立っていることができなくなりその場に倒れ込みました。
廊下には大きな血の水たまりが出来ていたそうです。
「俺の女に手を出す奴は、こうなるんだよ・・・・」
男はそう言い放つと牛刀を捨て走り去っていきました。
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あれからもう10分以上たつ・・・・。
店番をしていたAは不審に思い、新たに入店していた別の客に店番を頼むと外に様子を見に行くことにしました。
そして裏口の方に向かうと、血まみれで倒れているマスターを発見しました。
Aは驚いてマスターに駆け寄って、大丈夫か!しっかりしろ!と叫びました。
マスターの口はかすかに動いていて何かを言っているようですがはっきりと聞き取れません。
Aは耳をマスターの口に近づけると、今度ははっきりと聞こえたそうです。
あんなブスの為に死ぬのは嫌だぁぁぁぁ・・・・・
やっぱりなとAは不謹慎ながらも納得したそうです。
それから病院に運ばれましたがマスターは死亡しました。
マスターを刺した男も翌日自首したらしいです。
Aはその時のことを僕に話しながらこう言って話を締めました。
他人の色恋沙汰にはご用心!